第一種第一種衛生管理者 有害業務

第一種衛生管理者「有害業務」の頻出ポイント総まとめ

公開 2026-05-22

第一種衛生管理者の試験で合否を分けるのは、第二種にはない「有害業務に係るもの」の出題です。関係法令と労働衛生のそれぞれに有害業務分野が10問ずつ用意され、各範囲で40%未満を取れば足切りで不合格。逆に言えば、ここを得点源にできれば合格はぐっと近づきます。本記事では有機則・特化則・局所排気装置・作業主任者・職業性疾病など、頻出テーマの要点と覚え方を整理します。

有害業務分野が第一種の合否を分ける理由

第一種衛生管理者の試験は3科目・計44問・400点満点で、出題内訳は次の通りです。

  • 関係法令(有害業務に係るものを含む) … 17問・150点
  • 労働衛生(有害業務に係るものを含む) … 17問・150点
  • 労働生理 … 10問・100点

このうち関係法令・労働衛生はそれぞれ「有害業務に係るもの10問」と「有害業務以外7問」に分かれ、1問あたりの配点も異なります。合格には合計60%以上だけでなく、各範囲で40%以上が必要とされる整理が一般的で、有害業務の10問で4問以上を取れないと、他で稼いでも不合格になり得ます(正確な足切り単位や配点は安全衛生技術試験協会の公式案内で要確認)。

なお、衛生管理者の選任義務そのものは労働安全衛生法(e-Gov 法令検索)第12条に規定されています。有害業務分野の出題の多くはこの法律と関連する省令(有機則・特化則・粉じん則など)から派生しているので、不安な論点は条文に直接当たるのが最短ルートです。

つまり「有害業務を捨てて他で稼ぐ」戦略は第一種では成り立ちません。第二種から第一種に切り替える専用試験区分もなく、第二種合格者でも第一種を受け直す必要があるため、有害業務は腰を据えて取り組むべき領域です。

関連:第一種衛生管理者の出題範囲と頻出テーマ

関係法令(有害)で必ず押さえる頻出テーマ

関係法令の有害分野は、条文の細かい文言ではなく「制度の枠組み」を問う問題が多く、暗記の方向性さえ合っていれば得点しやすい領域です。

1. 作業主任者の選任が必要な作業

特定の有害業務には作業主任者の選任が義務付けられます。頻出は次のような区分です。

  • 有機溶剤作業主任者(有機溶剤を使う屋内作業など)
  • 特定化学物質作業主任者
  • 鉛作業主任者
  • 石綿作業主任者
  • 高圧室内作業主任者、酸素欠乏危険作業主任者 など

選任が不要な作業」を選ばせるひっかけが定番です。例えば「強烈な騒音を発する屋内作業」には作業主任者の選任義務がない、といった論点が繰り返し出題されます。

2. 特別教育を必要とする業務

労働者の安全衛生を確保するため、特定の危険・有害業務に就かせる際に事業者が行う特別教育の対象を整理しておきます。チェーンソー作業、エックス線・ガンマ線装置の透過写真撮影業務、廃棄物焼却施設での作業など、繰り返し問われる業務群があります。逆に「特別教育の対象でない業務」を問う設問も多いので、対象外の典型例(有機溶剤業務など)もセットで覚えるのが効率的です。

3. 健康診断・健康管理手帳

有害業務に常時従事する労働者には特殊健康診断が必要です。

  • 有機溶剤、鉛、四アルキル鉛、特定化学物質、高気圧、電離放射線、石綿
  • 原則6か月以内ごとに1回(電離放射線は別ルール、じん肺は管理区分により年1回など)

健康管理手帳の交付対象業務(ベンジジン、ベリリウム、石綿など)も頻出です。

4. 譲渡等の制限・製造許可物質

製造禁止物質(ベンジジン、黄りんマッチ等)と、製造に厚生労働大臣の許可が必要な物質(ジクロルベンジジン、アルファ-ナフチルアミン等)の区別は、毎回といっていいほど問われます。

労働衛生(有害)で点を取る覚え方

労働衛生の有害分野は、化学物質の性状・作業環境管理・職業性疾病という3本柱で考えると整理しやすいです。

有害物質の状態と性質

物質の常温常圧での状態を問う出題が頻出です。

  • ガス:塩素、一酸化炭素、ホルムアルデヒド、二酸化硫黄、アンモニア
  • 蒸気:アセトン、トルエン、二硫化炭素、水銀、トリクロロエチレン
  • 粉じん:石綿、無水クロム酸、ジクロロベンジジン
  • ミスト:硫酸、塩酸、クロム酸
  • ヒューム:酸化鉛、酸化亜鉛、銅(金属が高温で蒸発し空気中で凝固したもの)

「水銀=蒸気」「酸化鉛=ヒューム」のように、迷いやすい組み合わせを集中的に潰すと効率的です。

局所排気装置とフード

「局所排気装置 衛生管理者」で問われるのはフードの形式と性能です。

  • 囲い式(カバー型・グローブボックス型など):捕捉効率が高い
  • 外付け式(スロット型・ルーバ型など):効率はやや劣る
  • レシーバ式(キャノピー型など):熱や慣性で発生源側から飛んでくる有害物を受け止める

ダクトは「主ダクトに合流する枝ダクトはなるべく短く、ベンドは少なく」、空気清浄装置を設ける場合は「ファン(排風機)は清浄装置の後ろ」に置く、というのが基本原則です。プッシュプル型換気装置や全体換気装置との使い分けも整理しておきましょう。

作業環境測定と評価

A測定・B測定、第一管理区分〜第三管理区分の意味は必出論点です。

  • 第一管理区分:作業環境はおおむね良好
  • 第二管理区分:なお改善の余地あり
  • 第三管理区分:直ちに改善が必要(作業環境改善・保護具着用など義務)

「第三管理区分になったら何をすべきか」を選ばせる出題が定番です。

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職業性疾病

有害要因と疾病の対応関係を、表で頭に入れておくと得点が安定します。

  • 鉛中毒:貧血、伸筋麻痺、腹部疝痛
  • 有機溶剤(ベンゼン):造血機能障害、白血病
  • 二硫化炭素:精神障害、動脈硬化
  • ノルマルヘキサン:多発性神経炎
  • マンガン:パーキンソン症候群様症状
  • 石綿:肺がん、中皮腫
  • 騒音:c5dip(4,000Hz付近の聴力低下)から始まる感音性難聴
  • 振動障害:レイノー現象(白指発作)
  • 電離放射線:確定的影響(脱毛、白内障)と確率的影響(発がん、遺伝的影響)
  • 高気圧・減圧症:窒素ガス気泡による関節痛・神経症状
  • 酸素欠乏:酸素濃度18%未満が酸欠の定義

「ベンゼン=白血病」「ノルマルヘキサン=多発性神経炎」のように、物質名と疾病名のペアで暗記するのが鉄則です。

有機則・特化則・粉じん則の押さえ方

「衛生管理者 有機則 特化則」で問われるのは、規則の対象範囲と数値要件です。細かい条文を全部覚える必要はなく、頻出ポイントに絞ります。

有機溶剤中毒予防規則(有機則)

  • 有機溶剤は第1種(赤)・第2種(黄)・第3種(青)の3区分で色分け表示
  • 屋内作業場での発散源対策は、原則として密閉設備・局所排気装置・プッシュプル型換気装置のいずれかを設置
  • 第3種有機溶剤で吹付け作業以外は全体換気装置でも可、など例外がある
  • 作業環境測定は6か月以内ごとに1回(第1種・第2種有機溶剤)

特定化学物質障害予防規則(特化則)

  • 第1類(製造許可物質)、第2類(発がん性等のある特定化学物質)、第3類(大量漏えい防止対象)に区分
  • 第1類・第2類は局所排気装置等の設置義務
  • 特別管理物質は、作業の記録・健康診断結果・作業環境測定結果を30年間保存

粉じん障害防止規則(じん肺)

  • 特定粉じん発生源には局所排気装置・湿潤化等の措置
  • じん肺健康診断は管理区分により頻度が変わる(管理1は3年以内ごと、管理2・3は1年以内ごとなど)

これらの規則は「規則名 → 対象 → 必要な設備 → 測定頻度 → 記録保存年数」の順で表にまとめると整理しやすいです。

※2026年5月時点の情報です。最新は安全衛生技術試験協会の公式案内をご確認ください。

有害業務の学習を効率化するコツ

有害業務は範囲が広く見えますが、出題テーマは毎回ほぼ同じ枠組みから出ます。

  1. 作業主任者・特別教育・健康診断・製造許可・健康管理手帳の5つの「該当する/しない」表をまず完成させる
  2. 物質の状態(ガス・蒸気・粉じん・ミスト・ヒューム)職業性疾病の対応表を暗記する
  3. 局所排気装置のフード形式と性能順位を図でイメージする
  4. 有機則・特化則・粉じん則の数値要件(測定頻度・記録保存年数)を比較表で覚える
  5. 過去問で同じ論点が形を変えて何度も出ることを体感する

合格率は近年おおむね45%前後で推移しており、2024年度(令和6年度)は受験者64,911人・合格者30,081人・合格率46.3%でした。決して易しくはありませんが、有害業務を「捨てない」ことができれば十分に合格圏内に入れます。

過去問の使い方は第一種衛生管理者は過去問だけで合格できる?で、学習スケジュールの組み方は第一種衛生管理者の勉強法【独学で合格する手順】で詳しく解説しています。試験全体の概要は第一種衛生管理者の試験情報トップも参照してください。

アプリで効率よく学習する

有害業務は「同じテーマが少し形を変えて繰り返し出る」典型分野です。テキスト読みだけでは知識が定着しにくいので、過去問演習を反復して、論点ごとの引き出しを増やしておくのが近道です。

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出典

本サイトで掲載する過去問題は、公益財団法人 安全衛生技術試験協会公表試験問題を出典としています。解説は当サイトが独自に作成しています。