第一種衛生管理者「労働生理」攻略|暗記の整理術
労働生理は、第一種衛生管理者の3科目のなかで最も得点を安定させやすい科目です。人体の構造と機能を問う内容で、有害業務のような第一種固有の難所がなく、第二種と共通の範囲。10問で100点と1問あたりの配点が大きいため、ここを固めれば合計点を一気に底上げできます。この記事では、第一種衛生管理者の労働生理を分野ごとに整理し、ホルモンや消化酵素などの「対応表で覚える頻出論点」と、よくある引っかけの避け方を解説します。
労働生理の全体像と勉強の優先度
労働生理は公益財団法人 安全衛生技術試験協会が実施する第一種衛生管理者試験で、10問・100点を占めます。1問あたり10点と配点が高く、毎年似た論点が言い回しを変えて繰り返されるのが特徴です。新しいテーマがほぼ出ないため、過去問演習がそのまま得点に直結します。
労働生理は第二種衛生管理者とも共通範囲です。第二種に合格済みの方でも、第一種で改めて解き直す価値が高い「コスパの良い科目」と言えます。出題テーマは次の10分野に整理できます。
| 分野 | 主な論点 | |---|---| | 循環器系 | 心臓の構造、体循環・肺循環、血圧、心拍 | | 血液 | 赤血球・白血球・血小板、血液凝固、免疫 | | 呼吸 | 外呼吸・内呼吸、呼吸中枢、肺活量 | | 消化と代謝 | 消化酵素と基質、肝臓、基礎代謝 | | 腎臓・尿 | 糸球体ろ過、尿の生成、再吸収 | | 神経系 | 中枢神経・末梢神経、自律神経 | | 内分泌 | ホルモンの分泌器官と作用 | | 感覚器 | 眼・耳・その他の感覚 | | 筋肉 | 横紋筋・平滑筋、収縮の種類 | | 体温調節・疲労・睡眠 | 産熱と放熱、ストレス |
勉強の優先度としては、まず循環器・血液・消化・腎臓・内分泌を固めるのが効率的です。出題頻度が高く、対応表で覚えれば確実に取れる分野が集まっています。
循環器・血液・呼吸:経路と血液の種類を正確に
体循環と肺循環の経路
血液循環は「体循環」と「肺循環」の2系統です。経路を一筆書きで覚えてしまいましょう。
- 体循環:左心室 → 大動脈 → 全身の毛細血管 → 大静脈 → 右心房
- 肺循環:右心室 → 肺動脈 → 肺の毛細血管 → 肺静脈 → 左心房
最大の引っかけは血液の種類です。肺動脈には静脈血(酸素が少ない血液)が流れ、肺静脈には動脈血(酸素が多い血液)が流れます。「動脈=動脈血」と思い込むと必ず間違えます。大動脈と肺静脈を流れるのが動脈血、大静脈と肺動脈を流れるのが静脈血、と覚えてください。
血液成分の働き
| 成分 | 主な働き | |---|---| | 赤血球 | 酸素の運搬(ヘモグロビン)。男女で数値差あり | | 白血球 | 生体防御(免疫)。好中球・リンパ球など | | 血小板 | 止血・血液凝固 | | 血漿 | 栄養素・老廃物の運搬、アルブミンなど |
ヘマトクリットは血液中に占める赤血球の容積の割合です。免疫では、リンパ球のうちTリンパ球が細胞性免疫、Bリンパ球が抗体産生(液性免疫)に関わる、という対応も頻出です。
呼吸
肺胞と血液の間でのガス交換が外呼吸、組織細胞と血液の間でのガス交換が内呼吸です。呼吸を調節する呼吸中枢は延髄にあり、血液中の二酸化炭素濃度が高まると呼吸が速く深くなります。
消化・代謝・腎臓:対応表で一気に覚える
消化酵素と基質の対応
労働生理で最も頻出の対応表が、消化酵素とその分解対象(基質)です。
| 消化酵素 | 含まれる消化液 | 分解する栄養素(基質) | |---|---|---| | アミラーゼ | 唾液・膵液 | 糖質(炭水化物) | | ペプシン | 胃液 | 蛋白質 | | トリプシン | 膵液 | 蛋白質 | | リパーゼ | 膵液 | 脂肪 | | マルターゼ | 腸液 | 麦芽糖 → ブドウ糖 |
三大栄養素の最終的な分解先もセットで覚えます。糖質はブドウ糖に、蛋白質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解されて吸収されます。「ペプシンが脂肪を分解する」のような酵素と基質を入れ替えた選択肢が定番の誤りです。
肝臓と腎臓
肝臓は、グリコーゲンの合成・貯蔵、アルブミンなど血漿蛋白の合成、胆汁の生成、有害物質の解毒など、多機能な臓器です。「肝臓で〇〇を行う」という選択肢は正しいものが多い、と覚えておくと判断材料になります。
腎臓では、血液が糸球体でろ過されて原尿となり、尿細管で水分・糖・電解質などが再吸収され、残りが尿になります。健康な人では、糸球体でろ過されたブドウ糖は尿細管でほぼ全量が再吸収されるため、尿中にはほとんど出ません。血液中の老廃物である尿素窒素(BUN)や尿酸の処理も腎臓の役割です。
過去問を回していると、こうした対応表の論点が毎回のように登場することに気づきます。スキマ時間にアプリで反復すると、酵素・栄養素・臓器の対応が短期間で定着します。
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神経・内分泌:作用の方向で整理する
神経系と自律神経
神経系は、脳と脊髄からなる中枢神経と、そこから全身に伸びる末梢神経に分かれます。末梢神経のうち、意思とは無関係に内臓や血管を調節するのが自律神経です。
自律神経は交感神経と副交感神経が互いに反対の作用(拮抗)をもちます。方向で覚えるのがコツです。
| 器官 | 交感神経(活動・緊張) | 副交感神経(休息・回復) | |---|---|---| | 心拍 | 促進(速くなる) | 抑制(遅くなる) | | 血圧 | 上昇 | 下降 | | 気管支 | 拡張 | 収縮 | | 消化管の運動 | 抑制 | 促進 | | 瞳孔 | 散大 | 縮小 |
「日中の活動・緊張は交感神経、夜の休息・消化は副交感神経」とイメージすると、個々の作用を暗記しなくても判断できます。
ホルモンと分泌器官・作用
内分泌は、ホルモン名・分泌器官・作用の3点セットを対応表で覚えます。
| ホルモン | 分泌器官 | 主な作用 | |---|---|---| | インスリン | 膵臓(ランゲルハンス島) | 血糖を下げる | | グルカゴン | 膵臓(ランゲルハンス島) | 血糖を上げる | | アドレナリン | 副腎髄質 | 血糖上昇、心拍数増加 | | コルチゾール | 副腎皮質 | 血糖上昇(糖新生) | | アルドステロン | 副腎皮質 | 体内の塩類(ナトリウム)バランス調節 | | パラソルモン | 副甲状腺 | 血中カルシウム濃度の調節 | | メラトニン | 松果体 | 睡眠の促進(体内時計) | | 甲状腺ホルモン | 甲状腺 | 代謝の促進 |
引っかけは「副腎髄質」と「副腎皮質」の取り違えです。アドレナリンは副腎髄質、コルチゾールとアルドステロンは副腎皮質と区別してください。血糖を下げるのはインスリンだけで、ほかの多くのホルモンは血糖を上げる方向に働く、という非対称も覚えておくと選択肢を絞りやすくなります。
感覚器・筋肉・体温調節と直前の総整理
感覚器
- 眼:水晶体の厚みを変えて遠近に焦点を合わせる(遠近調節)。網膜には明暗を感じる杆状体と色を感じる錐状体がある。近くが見えにくくなる遠視・老視、屈折異常の近視・乱視の区別も頻出。
- 耳:聴覚を担うのは内耳の蝸牛(うずまき管)。**平衡感覚は内耳の前庭と半規管(三半規管)**が担う。耳は聴覚と平衡覚の二役、という点が問われます。
筋肉
骨格筋は横紋筋で随意筋、内臓や血管壁の平滑筋は不随意筋です。心臓の心筋は横紋筋ですが不随意筋という例外も狙われます。収縮の種類では、筋肉の長さが変わらず張力だけが変化する等尺性収縮と、長さが変わる等張性収縮の区別を押さえます。
体温調節・疲労・睡眠
体温は、産熱と放熱のバランスで一定に保たれます(恒常性=ホメオスタシス)。暑熱時は発汗と皮膚血管の拡張で放熱を促し、寒冷時はふるえなどで産熱を増やします。睡眠では、入眠直後に深い眠り(ノンレム睡眠)が現れ、夢を見やすいレム睡眠と交互に繰り返される点が出ます。ストレス時には交感神経が優位になり、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の分泌が高まる、という内分泌との関連も整理しておきましょう。
労働生理は、この記事で示した対応表をA4一枚にまとめ、過去問で出題のされ方を確認しながら埋めていくのが最短ルートです。出題範囲全体の把握は第一種衛生管理者の出題範囲と頻出テーマ、科目の進め方は第一種衛生管理者の勉強法【独学で合格する手順】、数値の暗記は第一種衛生管理者でよく出る数値まとめを合わせて確認してください。
※2026年6月時点の情報です。最新は安全衛生技術試験協会の公式案内をご確認ください。
よくある質問
Q. 労働生理は第一種と第二種で範囲が違いますか?
労働生理は第一種・第二種で共通の範囲です。人体の構造と機能を問う科目で、有害業務に係るものの区別はありません。第一種は10問・100点、第二種は10問・100点(範囲名は「労働生理」)で、出題テーマもほぼ重なります。
Q. 労働生理は暗記中心の科目ですか?
暗記が大きな比重を占めます。ホルモンと分泌器官・作用の対応、消化酵素と基質の対応、血液循環の経路など、組み合わせを正確に覚えれば得点が安定します。新規論点が出にくく、過去問の繰り返しが最も効く科目です。
Q. 肺動脈には動脈血が流れますか?
いいえ。肺動脈には静脈血(酸素が少ない血液)が流れ、肺静脈には動脈血(酸素が多い血液)が流れます。「動脈=動脈血」ではなく、血管の名前と血液の種類が一致しないのが頻出の引っかけポイントです。
Q. 労働生理は何問取れれば安心ですか?
労働生理は1問10点と配点が高く、論点が安定しています。10問中7〜8問(70〜80点)を目標にすると合計点を底上げできます。最低でも範囲ごとの40%(=4問)は確実に確保し、足切りを避けてください。
アプリで効率よく学習する
労働生理は、対応表を覚えたら過去問で「どう問われるか」を体に入れるフェーズが勝負です。通勤中や昼休みの細切れ時間に、スマホで1問ずつ反復すれば、ホルモンや酵素の組み合わせが自然と定着します。
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